鬼怒川龍王峡

5月初め頃から、コロナウイルス感染流行が第4波、第5波と続き、この間、計画していた山行は、ことごとく中止になり、ストレスがたまりにたまってしまったこの秋。感染収束が見えてきた11月5日。7カ月ぶりに、シニアメンバ企画による「日光龍王峡への紅葉狩りハイキング」がようやく実現した。

計画書

実施報告

早朝、10名のメンバが大型ワゴン車に乗り込んで厚木市を出発。圏央厚木ICから圏央道を走り、中央道、関越道を横切って、久喜白岡ジャンクションから東北道に入り、宇都宮から日光道今市ICで高速道を降り、国道121号線を北上し、鬼怒川温泉先の龍王峡に向かった。

片道行程230kmのうち、200kmは高速道路走行区間で、普段なら、目的地までの所要時間は3~3.5時間である。ところが、平日のこの日、八王子JCTと鶴ヶ島JCTの合流点手前で、それぞれ1時間強の渋滞に遭遇。とどめは、東北道羽生IC付近で事故渋滞約1時間のトリプルパンチ。緊急事態宣言が解除され、物流トラックと行楽地に向かうマイカ-が急増して、平日なのに、休日並みの渋滞が生じてしまったようだ。

目的地に近づくと日光表連山(左から男体山、大真子山、小真子山、帝釈山、女峰山、赤薙山)の歓迎を受ける(日光市今市付近)

あちこちで渋滞に遭遇し、6時間を要して正午にようやく龍王峡入口に到着。入念にストレッチ体操を済ませて出発。

入念にストレッチ体操を済ませ、龍王峡入口となる五龍王神社の鳥居を潜って、渓谷に下り、虹見の滝傍の鬼怒川本流に突き出た大岩の上に祀られている五龍王神社に参拝。この神社は、地元鬼怒川温泉と川治温泉の守護神として、龍神が祀られているという。

龍王峡ハイキングは、龍王峡駐車場前の五龍王神社鳥居を潜って、鬼怒川左岸の急坂の下りから始まる。
虹見の滝傍の鬼怒川に突き出た岩の上に建つ五龍王神社を参拝。鬼怒川・川治両温泉の守護神。龍神が祀られているという。

神社前の休憩卓に陣取り、まずは昼食。木漏れ日のもと、虹見の滝の滝音を聴きながら、全身にマイナスイオンを浴びながら、山仲間と久しぶりのランチタイムを楽しんだ。

到着が2時間以上遅れてしまったことから、本日のゴールは、ここから上流に約3km続く龍王峡の核心部を辿り、予定コースの半分弱の白石バス停までとすることに決め、出発した。

竪琴の滝に立ち寄り、虹見橋から、鬼怒川本流に直接流れ落ちる虹見の滝と五龍王神社の景観。上流部には、白色の火山岩を削って、流れ下る白龍峡と称される龍王峡下部の壮大な景色にしばし見入った。

五龍王神社社殿前の休憩卓でまず昼食。木漏れ日の中、滝の音を聴き、マイナスイオンを沢山浴びながらのランチタイム。
荒沢から鬼怒川に流れ落ちる竪琴の滝。落差5mの小さい滝であるが、水量が多く、なかなか迫力があった。
龍王峡下流「白龍峡」のビュ-ポイント虹見橋上から望む龍王峡。白色の岩壁を削って、広い川幅でゆったり流れている。
虹見の滝が鬼怒川本流に直接流れ落ち、その先の突き出た岩上に地元温泉の守護神「五龍王神社」の社が祀られている。

ここからしばらくの間、上流に向かって、鬼怒川右岸に沿って、黄色に色づいた広葉樹林帯の中に続く登山道を辿った。虹見橋辺りには大勢の観光客があふれかえっていたのに、橋を渡って、少し上流まで足を延ばしただけなのに、紅葉の最盛期のこの時期であっても、すれ違うハイカ-はほとんどいない静寂の世界。サンショウウオやモリアオガエルの産卵場所だという「そこなし池」や対岸の岩壁を流れ下る幾筋もの小滝を眺めながら、半時ほど辿ると、龍王峡のほぼ中央に位置するコンクリ-ト製の立派な吊り橋「ムササビ橋」に行き着く。

この辺りの岩壁を観察すると、白色と黄色の岩石の層が曲がりくねった模様の流紋岩に変わっていた。この流紋岩こそ、2200万年に海底で噴火して形成された火成岩が、この地で隆起し、長い年月をかけて、鬼怒川の流れによって、削り取られて渓谷に露出したことを査証するするもだという。さらに、この付近の渓谷は、先ほど渡った虹見橋付近の峡谷に比べ、より深く、幅細に削り取られ、一段と険しい渓谷の様相を示している。

右岸の広葉樹林を35分ほど歩くと、中間点むささび橋に到着する。黄色基調の紅葉の中にモミジの赤色のアクセントが美しい。

対岸の断崖のあちこちに、細い滝が幾筋も流れ落ちる景観を眺めながら登山道を歩くのも楽しい。

ムササビ橋を渡って左岸に移ると、赤い三角屋根のむささび茶屋があり、すぐそばに立派な公衆トイレ棟もあることから、ここで中休止とした。茶屋で販売している、コンニャクの味噌おでんや甘酒を楽しむメンバも。

龍王峡中間に位置するムササビ橋からの龍王峡の景観。両岸の岩は縞模様の流紋岩が目立ち、深く狭い渓谷に変わっている。

ムササビ橋左岸に建つ龍王峡唯一の有人休憩所むささび茶屋。甘酒やおでん等を販売している。

左岸を少し進むと、大観と名づけられた、龍王峡上部を見渡せる絶景ポイントがある。地元の観光案内によれば、ここから眺める龍王峡の景観が、一番人気だという。ますます狭く深く刻まれた渓谷の中まで、午後の日差しは届かず、薄暗い光の中で少し紫色にも見える安山岩の岩壁と午後の日差しに黄金色に輝く紅葉に染まった山肌の暗と明のコントラストの妙が印象的だ。

海底火山の隆起の証拠だとされる灰色の凝灰岩の露岩や、柱状節理を見ながら紅葉染まる登山道を進み、五光石、兎はね、かめ穴等の見所の案内板をやり過ごすと、渓谷に沿って、川治温泉湯元まで進むハイキングコースと白岩バス停に登る短縮コ-スの分岐点に到着した。

龍王峡上流部の最大のビュ-ポイント大観から望む渓谷。狭くなった渓谷と日差しを浴びて金色に輝く紅葉が美しい。
海底火山が2200万年前隆起して地上に露出した柱状節理や凝灰岩の岩璧等が登山道のあちこちに説明板付きで見られる。

ここで、少しの時間、龍王峡に名残を惜しんでから、つづら折れの急坂を15分登って、今回の短縮コ-スのゴールとした、国道121号線の白石バス停に到着。車を呼び寄せるまでの少しの間、紅葉が美しい国道の路肩で、整理体操をしながら車を待った。

川治温泉(左)と白岩バス停(右上)の分岐点。小休止後、ジグザクの急坂を15分登って、ゴールの白岩バス停に向かう。
国道121号線白岩バス停横で、迎えの車が来るまで、ストレッチ体操。紅葉が美しい。

厚木市までの帰路は、渋滞に遭うこともなく、順調に進み、3カ所での休憩時間を含め、約4.5時間で帰着できた。今回の紅葉ハイキングは、想定外の渋滞遭遇により、やむなく当初計画の半分以下にコースを短縮したため、結果として、行動時間2時間41分、歩行数約8000歩の軽いハイキングになった。今回の龍王峡ハイキングは、7か月間ブランク後再開した最初のハイキング。シニアメンバのリハビリ山行としては、この程度の軽めのハイキングでちょうどよかったとの声が多かった。大半が初訪問の紅葉最盛期の龍王峡。紅葉に映える壮大で変化に富んだ龍王峡の核心部を歩き紅葉が美しい国道の路肩で、整理体操をしながら、その景観に大いに満足したようだ。