大山こぼれ話 (コラム)

メンバーSさんが会員あてに送信された地元・大山に関するマメ知識。
ご本人に転載の許可をいただきましたので、掲載します。

丁目石

大山口登山道 二十六丁目「来迎谷」

大山や鐘ヶ嶽に登っていると一丁目、二丁目と彫られた石(石像)が置いてあります。これは「丁目石」「丁石」「町石」と呼ぶようです。石には「〇丁目」と彫られているので、ここでは「丁目石」と呼びます。一里塚と同じように丁目石は距離の目安として置かれています。ある距離毎に置かれていますが、その間隔がマチマチです。一丁は、昔の距離の単位で「約109.09メートル」になりますが、丁目石は正確に等分されていません。
丁目は、単なる距離表示として、古くからある街道や参道、峠道など交通の為の道だった登山道に振られている場合が多いです。

大山にあります丁目石は白御影石で昭和41年(1966年)7月に建立し56年前に古い丁目石(明治7年3月)と入替えを行いました。
入替え当時は、林業用のモノレールも無く、人力で丁目石を運んだようで、かなりの時間と労力を費やしたことでしょう。

二十八丁目でようやく山頂

大山と鐘ヶ嶽の山頂の丁目石は、どちらも28丁目までです。大山は標高1251.7mで28丁目の丁目石は、下から前社に向かって鳥居の左にあります。鐘ヶ嶽は561.1mで標高が異なっており距離も違うはずなのに、何故どちらも山頂付近にある丁目石は28丁目となるのでしょうか。

答えは簡単で、大山の丁目始まりは、下社から登る登山口の急な階段手前に1丁目の丁目石が置かれています。鐘ヶ嶽は、登山口付近に1丁目があります。

どちらも、登る距離は似たようなものなのでしょうか?大山はケーブルカーで下社まで行くので始まりはそこからなのでしょうか?イヤイヤ、ケーブルカーは1965年開業で明治7年にはありません。元々、下社を始まりの1丁目としたと考えるのが、妥当なんでしょうね。何故、下社を1丁目にしたかは分からないので、宿題にしておいてください。

大山阿夫利神社 下社

大山の標高は約1252m、下社が681m{(1252m-681m)÷28}で1丁目の平均標高差は、20.4mになります。鐘ヶ嶽は561m、1丁目の標高が120m{(561m-120)÷28}で1丁目の平均標高差は、15.8mになります。

また、大山ケーブル駅から山頂までの距離は1900mで、109mで割ると17丁で良いことになります。鐘ヶ嶽は登山口から山頂までの距離は2000mで、109mで割ると18丁で良いことになります。

それから、歩数で図りましたが、大山も鐘ヶ嶽も丁目間の歩数は丁目間により異なっていました。特に大山より鐘ヶ嶽の方が丁目間の距離がマチマチだったと思いますし、丁目間が短いように思いました。

鐘ヶ嶽 拾五丁目

まあ、何といい加減でしょうかと言うと失礼なので、当時としては何らかの決まりごとにより28丁目にして、置きやすい所に丁目石を置いたのではないのでしょうか。

因みに、七面山は登山口に1丁目があり敬慎院が50丁目でした。 109m×50=5,450mになりますが、山と高原社のヤマプラで距離を見ますと3,800mになりますが、目安ですので気にしないようにお願いします。

身延七面山 五十丁目 敬慎院

丁目石はその道を使う方々への距離の目安ですが、どこを1丁目にして、どこを終りの丁目するのかは、そこを仕切っている神社やお寺次第なのかもしれませんね。できれば、登り口に終りの丁目が分かる標識があると嬉しいですね。

大山の茶屋

山頂売店の近くにある御神木

大山の登山道の途中に茶屋があったのをご存知の方は少ないのではないでしょうか。阿夫利神社にゆかりのある年配者に聞いた話をお伝えします。

「大山講で賑わっていた大山には、江戸時代から茶屋があったようで、私の知っている限りでは、5丁目、16丁目、20丁目と山頂にあった。今の山頂の売店は神社の持ち物だが、当時は本社の近くにあった。」

茶屋は後を継ぐ人がいないので潰れてしまい更地になってしまいました。何よりも儲からなくなったからであろうというのが私の感想です。

水場

下社にある大山名水

大山に水場があったのをご存知ですかと聞かれて、当然ですが「いや!知りません。」と答えました。
水場は、24丁目付近にあり、いつの日か枯れてしまい、今や場所がどこにあったのかさえ分からなくなってしまったようです。

大山の賑わい

大山は春と秋の賑わいと比べると夏と冬はいまいちで、特に平日は閑散としていることが多いと感じられます。

ここ2~3年、表参道、かごや道や雷ノ尾根が整備されてきており、山頂の整備も2022年1月から始まり3月25日まで行われています。(3月27日現在、完成していません)

紅葉の大山寺

小田急も宣伝に力を入れていると思うのは私だけでしょうか。昨年の紅葉のライトアップ期間中の休日は、今までの中で一番の人出だったようで、神奈中も近隣営業所のバスをかき集め、大山小学校と大山ケーブルバス停間のシャトルバスや伊勢原駅⇔大山ケーブルバス停間のバスの臨時便を頻繁に運行していました。

大山が丹沢の玄関として、季節を問わず登山、トレランや観光客など益々多くの方々訪れて日本遺産として賑わうことを願っています。