ドロミテ Italy

「ドロミテ」 イタリア東北部にあるオーストリアとの国境近くのアルプス山脈

 この夏、ドロミテ山塊ハイキングツアーに参加した。ドロミテはイタリア東北部に位置し、オーストリアと国境を接する南アルプスの一部。20を超える3000m級の山々・渓谷が3州にまたぐ雄大な山岳地帯。 冬はスキーヤー、夏はロッククライマー、ハイカーが世界各地から集まり、ほぼ1年じゅう賑わっている。8月の平均気温は18度と、とても涼しい。(緯度は樺太とほぼ同じ)

西側の玄関口、ボルツァ―ノから入り、フィネス谷をハイキング。いきなりのこぎりの歯のようなガイスラー山群(2400~3025m)が出迎え、終始スケールの大きさに圧倒されながら「オドレの道」を歩いた。

翌日はガルデナ谷に移動し、オルティセイという静かな街に2日間滞在し、セチェダ山頂にゴンドラで登頂。下りはロープ1本で高速で降りてくる。その後車で東部へ120km移動。トレチーメ峰(ドイツ語でドライチンネン)の真下を反時計回りし、憧れのロカッテリ小屋(2045m)に宿泊。

最後の宿は高原リゾート地として有名なコルティナに2泊。古い街のたたずまいから、住民が古き良きイタリアを大切にしているのがよくわかる。この街は2026年冬季オリンピックが開催されることから、あちこちで建設工事が行われていた。

1日4~6時間のハイキングを都合6日間行った。その切り立った岩峰の中腹まで車で登ってこれるし、さらに上部~頂上にはロープウェイやリフトの設備が整っていて、360度のパノラマビューを楽しむことができる。本格的なクライマー以外に、スニーカーを履いた一般の旅行者やマウンテンバイクの若者たち、私たちみたいな高齢者、ベビーカーを押す若い夫婦にも多く出会った。みんな気軽な恰好で気負うことなくハイキングを楽しんでいる。次々に現れるカラフルな花畑、放牧された牛や馬に癒され、こんなに威容な自然に簡単にアクセスできるヨーロッパの人たちがほんとにうらやましい。

日本の習慣に倣い、行き交うハイカーに「ハロー」とか「ボンジョルノ」と声をかけると、みな陽気に笑顔で返してくれる。ドイツ人に言ったら、
「Do I know you?」と真顔で聞かれた、と仲間が言っていて、笑えた。ひと月前に数十センチの積雪があったというが、草花はもう秋の仕様だ。
ほんの束の間のドロミテの夏を満喫した。