八子ヶ峰

関東甲信の梅雨明け初日の7/18早朝、大型ワゴン車にメンバ11名が乗り込んで厚木市を出発し、約4時間を要して、八子ヶ峰登山口のスズラン峠駐車場に到着。ストレッチ体操を済ませ、八子ヶ峰縦走コ-スに取りついた。

計画書

実施報告

八子ヶ峰から望む3000m鋒8座が並び立つ槍ヶ岳から穂高岳に続く北アルプス南部の大パノラマは感動ものだ! 

樹林帯を抜けると、笹の多い草原にレンゲツツジ等の低灌木が混じる展望の良いトレイルに変わる。45分ほど登ると、三角屋根が美しいヒュッテアルビレオに到着。アルビレオとは夜空に輝く白鳥座の2重星の名前だという。昼間は南・中央・北アルプスの大パノラマが、夜は満天の星が観察できる展望が自慢の山小屋として、長年登山客やスキ-客に愛されてきたそうだが、訪れる客が減り続け、残念なことに、2023年に廃業となり、それ以降戸閉めのようだ。

好天のこの日、目の前に広がる草原の先に、まだ雪を残す北アルプスの山並みを初めとする、中部山岳の名峰群の大パノラマが広がっていた。早速、ヒュッテ横の露岩に腰を下ろし、大パノラマを堪能しながら、至極のランチタイムを楽しんだ。食後、全員で山座同定を試みた。ヒュッテの背後に聳える蓼科山から横岳・赤岳・阿弥陀岳・編笠山へと続く八ヶ岳山塊、南アルプス北部の鳳凰三山・北岳・甲斐駒岳・仙丈ヶ岳、南駒ヶ岳・空木岳・宝剣岳・木曽駒岳を含む中央アルプス全山、御嶽山、乗鞍岳、北アルプス南部の穂高岳5座(西穂高岳~北穂高岳)、大キレットの右側には南岳・中岳・大喰岳と槍ヶ岳の3000峰4座と常念岳まで、百名山13座を含む、中部山岳の山々が一望できた。

展望の良い八子ヶ峰東峰1869mから中央峰1833.4mに進むと、霧ヶ峰車山と美ヶ原王ヶ頭の上方に、北アルプス北部の鹿島槍ヶ岳、五竜岳、立山、劔岳、白馬岳。さらに北から東方向には、高妻山、火打山、妙高山、四阿山、草津白根山、煙吐く浅間山と、さらに百名山13座が確認できた。

八子ヶ峰中央峰の頂上に立つと、南側の蓼科湖方面から登ってくる2人組に出会った。東急トレッキングコ-スの道標とよく整備された登山道が山麓に広がる蓼科東急リゾ-トエリアまで続いているのが望めた。しかし、我々が辿るのは、尾根をさらに西に進み、白樺湖方面に下る「信濃自然遊歩道」だ。付近の北斜面は「しらかば2in1スキ-場」のいくつものゲレンデが尾根まで広がり、登山道が寸断されていて判然としない。NET上にも、最近このコースを歩く人が少なく、登山道の手入れもされていないので、道迷いしやすいコ-スだと記載されているようだ。この計画を立案したメンバは、数年前に友人数人とこのコースを歩き、中央峰頂上から、白樺湖方面に辿る登山道見つからず、反対側の東急トレッキングコ-スを下ってしまい、大変な目に遭ったという。

今回のメンバのうち8名は日本百名山完登者。これしきの山で、間違っても道迷いの不名誉な間違いはできないと、地形図を広げ、開発が進んで地形が大幅に変わってしまったスキ-ゲレンデ周辺のトレイルを探し回って、ゲレンデ上部の笹原の中にかすかな踏み跡と、すっかり風化して文字が消えて朽ち果てた木製の道標らしきものを発見した。地形図と照合すると、この踏み跡が白樺湖方面に通じる信濃自然歩道に違いないと確信した。笹原の踏み跡を80分ほど辿ると、見晴らしの良い「白樺湖ロイヤルヒルスキ-場」のゲレンデ上部に出た。ゲレンデ麓にゴールとなる白樺湖ロイヤルホテル駐車場を確認して、ホット一息つき、少し長めの休憩をとった。

本日辿った八子ヶ峰ハイキングコ-スは、大半が見晴らしの良い笹と草原のコースであり、多くの高山の花々に出会えるのではないかと楽しみにしていたが、予想外に少なく、出会った花は、写真に示した8種+アルファであった。その代わり、草原のいたるところに、ワラビが群生しており、大半は葉が開いてしまっていたが、それでも、出遅れのワラビを両手いっぱい摘んだメンバもいた。もっと早い時期であれば、この辺りは、ワラビ摘み放題間違いなしのワラビの宝庫のようだ。また、スズラン峠から小一時間登って、八子ヶ峰稜線を散策すれば、中部山岳の名だたる名峰・高峰と日本百名山26座が一望できる穴場の展望台としてお勧めできるハイキングコースだと感じた。なお、本日の歩行時短は3時間54分、行動時間は5時間14分であった。

今夜の宿泊先は、白樺湖南岸高台にある「ペンションブル-ベリ-」。立案者が穴場の宿泊先として、あちこち探して見つけた天然温泉の宿。今夜はTTC11名の貸し切りで、早速温泉で汗を流した。弱酸性の単純温泉で、最近源泉の湧出量が減ったため、毎日タンクロ-リで温泉を運んでくるという。露天風呂の浴槽は直径約5mの鋳物の鉄釜。地元茅野市は、日本一の寒天の産地で、天草を煮出す巨釜として使用されていたものを譲り受けた貴重な鉄釜だという。

夕食は、2代目若夫婦手作りのフレンチフルコ-スで、長野産の赤ワインを美味しく嗜みながら、料理を堪能した。食事後は、リビングで、メンバが演奏するグランドピアノとハーモニカの伴奏で、楽しく合唱のひと時を過ごした。

至近の距離にある霧ヶ峰車山周辺のお花畑には、まだまだ咲き誇るニッコウキスゲの群落がみられるとの情報を得て、翌朝一番に霧ヶ峰方面に向かった。車山肩駐車場手前の富士見台駐車場に車を止め、近くのお花畑を30分余り散策した。地名の通り、八ヶ岳と南アルプスの山並みの間の雲間に浮かぶ富士山をしっかり望むことができた。昨日の八子ヶ峰からは、八ヶ岳が邪魔をして、富士山は見えなかったので、ここで、27座目の日本百名山を確認できた。また、ここで出会った草花は、ニッコウキスゲを筆頭に、フジバカマ、レンゲショウマ、アヤメ、ワレモコウ、ハクサンフウロ、イブキトラノオ等、13種が確認できた。

このあと、ドライバの体調が思わしくなくなり、以後の予定を中止して、帰途に就いた。好天のもと、素晴らしい山岳大展望とニッコウキスゲ等の花々を愛で、フレンチフルコ-スのディナ-に舌鼓を打ち、温泉にもゆった~り浸かる贅沢な山旅を存分に堪能することができた。

標高1720mのスズラン峠登山口。登山者のほとんどは蓼科山に登り、八子ヶ峰に向かったのはTTCパ-ティのみだった。
八子ヶ峰稜線へは、笹と草原の傾斜が緩い登りが続く。日差しは強いが気温は20℃余、高原のそよ風が心地よい。
45分登ると八子ヶ峰のランドマ-ク三角屋根の「ヒュッテアルビレオ」に到着。大展望を堪能しながら昼食を楽しむ。
ヒュッテからは八ヶ岳・南ア・中ア・御岳・北ア南部の大パノラマが広がる。写真は大キレット・北穂・涸沢岳・奥穂・前穂・西穂。
八子ヶ峰山頂から背後に大きく聳える蓼科山をバックに記念撮影。
白樺湖南岸高台のペンションブル-べり-に宿泊。夕食後は、グランドピアノとハーモニカ伴奏でコ-ラスを楽しんだ。
翌日朝、霧ヶ峰冨士見台まで足を延ばし、ニッコウキスゲと様々な高山植物が咲くお花畑の中を散策した。
八子ヶ峰では見えなかった富士山が八ヶ岳と南アの間に浮かんで見えた。これで昨日と合わせ日本百名山27座に出会った。

八子ヶ峰で出会った花々

ノアザミ
ウツボグサ
タカネナデシコ
ホソバウスユキソウ
コウリンカ
ヤナギラン
エゾノハナシノブ?
タチフウロ