湯西川温泉かまくら雪祭り
今冬最大級の寒波が日本列島を席捲中の2月7日~8日、シニアメンバ中心の9名が、厳冬期の週末の夜に湯西川温泉で毎年開催されるかまくら祭りを訪ね、日本夜景遺産認定の幻想的な雪景色を存分に堪能した。
計画書
実施報告

東武北千住駅から東武特急リバティ会津号に2時間余り乗車すると、雪が舞う野岩鉄道湯西川温泉駅に到着。路線バスに25分乗車して、湯西川温泉に到着した。昨日から今朝にかけて、約40cmの降雪があり、一面銀世界で、北向きの屋根上や日陰の平地に約1m、日当たりの良い平地でも約30cmの積雪が見られた。北側の南会津と2000m級の帝釈山~荒海山塊で隔てられているため、会津地方に比べ積雪量は少なく、晴天の日も多いようだが、標高750mの谷合に位置する湯西川温泉の真冬は、日中でも気温が零下の日が多く、いったん降り積もった雪はなかなか解けにくい。
宿泊先の旅館に早めのチェックインを済ませ、一休みしてから、かまくら祭りの2つの会場の下見を兼ねて、約3時間の午後のスノ-・ウォ-キングに出かけた。緩いアップ・ダウンが続く圧雪状態の路面は、トレッキングシュ-ズとダブルストックで歩き、持参した軽アイゼンの世話にならずに済んだ。午前中まで降り続いていた雪も止み、雲の合間から陽が射す天候まで回復し、夜のウォ-キングも、零下5℃の寒空の中の行動にはなったが、この間降雪はなく、生まれて初めて見る幻想的な夜の雪景色に感動しながらの行動ができた。
まず、かまくら祭り会場の一つ「平家の里」を見学した。壇ノ浦で敗れた平家一族が、落人となって関東の奥地に逃れ、やがて温泉の湧くこの地を発見して移り住み、800有余年になるという。平家一族が隠れ住んだ平家屋敷を偲んで、約10棟の茅葺屋根の古民家を復元し、古民家内には、湯西川平氏の歴史や、多数の調度品・木工加工品・武具等を展示する他、壇ノ浦で入水した安徳天皇を祀った赤間神社等がある。雪が降り積もった庭内には、大型のかまくら3基とミニかまくら約250基が設置され、また、今年から始まったかつての平家の栄華を偲ぶ「繊細な彫刻を施した竹筒」をメインにした「平家あかり」と命名されたイルミネ-ションの仕掛け等を見学した。最後は第2会場となる約400基のミニかまくらが整然と並ぶ沢口河川敷まで足を運んだ。
旅館に戻り、約2時間の休憩の後、早めの夕食をいただいて、旅館の送迎車で、沢口河川敷に7:10pm頃到着。真っ暗闇から、突然視界が開け、400基のミニかまくらに灯るロウソクの明かりが、沢口橋下流右岸の土手から、河川敷、中洲へと広がり、目にしたことのない幻想的な景観に歓声が挙がった。入場可能な土手上のミニかまくらまで進み、至近距離から、眼下に広がるオレンジ色に輝くミニかまくら群にしばし見入った。
バスケットボール大のぼんぼりの街灯が圧雪路面を照らす緩い上り坂を10分ほど歩くと、昼間に庭内を見学した「平家の里」に到着した。すべての古民家に明かりが灯り、積雪を踏み固めて作られた散策路沿いには、ぼんぼりのブル-の明かりが雪面を照らし、庭内に点在する多数のミニかまくらに灯るロウソクのオレンジ色の光りが、負けじと競演。庭中央に造られた3基の大型かまくらが存在を主張していた。
極めつきは、今年から始めた「平家あかり」と命名されたひかりアートだろうか。繊細な模様を穿った竹筒を光源器とし、多数の竹筒を組み合わせた照明は、かつての平家の栄華を極めた平安時代の雅を、表現したものだという。初めて目にした豪華にして繊細な光の芸術に、興奮しながらじっくり鑑賞した。
気温零下5℃下での1.5時間にわたる異次元の光のア-ト鑑賞を終え、宿の源泉かけ流しの弱アルカリ性炭酸水素ナトリウム温泉の浴槽にゆった~り浸かって、高ぶった気分を静めてから寝床に入った。
夜半から降り出した本降りの雪が、間断なく降り続く翌朝、昨夜の余韻に浸りながら、雪国を後にした。