大峰山・荒島岳・伊吹山

近畿および北陸の百名山3座、更には曹洞宗大本山『永平寺』を新緑期に巡る

計画書

実施報告

【プロローグ】
奈良県・福井県・滋賀県の百名山3座を、夜行バス、電車、タクシ、路線バス、新幹線、レンタカという考えられうる公共交通機関を総動員し、練りに練ってビッグ山行を計画した。「こんな計画は他の人には真似できない」というような、褒められたのか呆れられたのかよく分からないコメントをいただきながら展開したところ、11名の方がエントリされた。前日の夜行バス利用の計画だったが、11名中8名の方が新幹線で移動され、それぞれに京都や奈良等で過ごされて、22日[金]朝スタートとなる下市口駅周辺に前泊され、体力温存に努められる結果となった。大移動を伴う百名山3座に登頂する内容なのに、せっかく福井まで行くのだからと3日目に『永平寺』参詣を計画に織り込んだが、これには無理があったと大いに反省している。
天候は少々の雨程度であれば決行するつもりでいたが、10日~1週間前頃まではどのお天気アプリも☔マークだらけで実施が危ぶまれた。日一日と近づいていくと少しずつよい方向に変わっていって、それでも降水確率は70%~80%を予想するアプリもあって、更に好転することを祈るばかりであった。結果としては前項に示したように、曇り空であったり霧が立ち込めたりすることはあったものの、4日間を通してほとんど本格的な雨との遭遇はなかったことはとても幸運であった。

【大峰山】
大峰山と言えば修験者が荒行を重ねる“奥駈道”が通っており、厳しい難所がいくつもあるイメージを持って臨んだ。奥駈道は熊野から吉野までを結ぶ、総延長170km~180kmの山岳ルートで、TV番組でかなり厳しい岩稜帯の上り/下りがよく紹介されている。今回の2日間で歩いたルートでは奥駈道の一部を間違いなく歩いているが、そんなに厳しい難所はなく、安心して歩を進めることができた。
宿泊した弥山小屋を中心にして八経ヶ岳や弥山周辺には、固有種である“オオヤマレンゲ(大山蓮華)”の自生地があり、7月上旬~中旬に香りのよい白い花を咲かせるそうだが、これを愛でるには今回は早過ぎた。鹿の食害で大打撃を受けているようで、膨大な費用と労力をかけて保護柵が施されており、通行するには扉を開けて/閉めてを何度も繰り返しながら歩かなければならず、うんざりするほどだったが、保護されている方の苦労を思うとこんなことは言っておれない。
2日目の大峰山の下り:累積標高差約1,500mを歩いた後に、路線バス~近鉄電車~新幹線を乗り継いだあと、レンタカーを借り受けておよそ130kmの移動はさすがに堪えた。大野市にある宿への到着は夕暮れになってしまったが、天空の城として知られる“越前大野城”がライトアップされて出迎えてくれ、とても魅力的であった。

【荒島岳】
荒島岳から下山後、永平寺に立ち寄るためには宿を5時に出発する必要があったが、とても無理と判断して割愛することとし、6時半出発に変更した。メンバーの中には3座に登ることより永平寺参詣に重きを置いていた方がおられたようで、申し訳なく思いましたがご容赦ください。
荒島岳は登山口(標高約350m)からシャクナゲ平(約1200m)を経由して山頂(1523m)まで急坂をひたすらに登っていくことになるが、前半と後半で様相が大きく異なっている。シャクナゲ平を過ぎるとかなり急な岩場やロープ場が何箇所か登場する。見る角度によってほぼ“壁”のように見えることから『もなが壁』と呼ばれる名物の急坂だそうだが、そこまで厳しいとは感じなかった。
TTCアーカイブで荒島岳の過去実績を確認すると2004年6月下旬実施で22年前までさかのぼることになる。この実施記録の最後に、「それにしても荒島岳はきつい山行であった割には、充実感・達成感が今一つである。神奈川から一日かけてアプローチして、もう一度登山しようと言う気にはなれない山である(原文のまま)」のコメントが掲載されている。一方、今回参加されたメンバの中に夏場に登られた経験者がおられて、「暑さでバテバテになって登ったが、山頂は樹々に覆われて眺望もなく、楽しい思い出が何もない…」というようなコメントをされていた。推察するに、登山道の両サイドには灌木や笹に覆われているところが多く、夏場は蒸し風呂のような状態になって、体力を消耗してしまったのではないかと思われる。今回の山行では涼しい風が吹き抜けたりして、確かに厳しい登り/下りではあったが変化に富んだ岩の急坂を楽しむことができたし、バテてしまった人はいなかった。また山頂には大きな“展望案内板”が設置されていて、360度見渡せる山々が詳細に記されていた。また前出の記録には「山頂やシャクナゲ平で多くの方が顔や腕を藪蚊?に刺され、中には大きく腫れ上がった人もいた…」とも記されている。荒島岳は夏場ではなく、涼しい春か秋に訪れたほうがよいのかもしれないという気がした。

荒島岳登山口
荒島岳山頂
荒島岳下山

【伊吹山】
北陸自動車道の長浜ICを降りて東に進んでいくと、雄大な伊吹山が表れてくるが、山の東側および西側の斜面が大きく削られて草木の生えていない裸地状態が目に飛び込んでくる。事前に問い合わせた際に「鹿の食害で登山道が崩れている…」という説明を受けて想像していたものを遥かに上回る痛々しい姿であった。
長旅の最後の宿は『伊吹高原荘』である。ネット情報によると収容人員120名とあり大きな山荘だが、今はこれだけの宿泊客を受け入れる余裕はないと思われる。老夫婦(ご主人は88歳と言われていた)と小・中学生の3人のお孫ちゃん達がお手伝いをしながら切り盛りされていて、何ともほっこりとする家族愛で、もてなしていただいた。1泊2食で予約したが、夕食は1,100円/人のプラスでバーベキュにランクアップできるとのことでお願いしたが、これが大正解であった。星空が見える屋外で炭火焼きのBBQを存分に堪能して、最後の夜は大いに盛り上がった。
「朝食の前に1時間早起きしてお散歩しませんか?」との提案があり有志対象としたが、全員参加で1合目~2合目辺りのゲレンデをのんびりと歩いて、最終日の朝というのに元気な皆さんであった。伊吹高原荘をあとにして伊吹山ドライブウェイを通って山頂近くの駐車場まで車で一気に登り、伊吹高原では「歩行距離:3km、標高差:±135m、ゆっくり歩いて2時間弱」のハイキングをのんびりと楽しんだ。山頂近くの一等三角点の道標に近づくと、この山を愛して長年保全に携わっておられる方から次のような貴重なお話を伺うことがでた。「・伊吹山は近年多くの災害が発生して大きく傷んでおり、主要因は“鹿の食害”と“地球温暖化”の影響と考えられる。・13年前まで伊吹高原には、春~秋にかけて次々に花が咲き乱れてパラダイスであったが、急激に草木が枯れ、花が少なくなってしまった。・3年前に局地的な大雨により土石流が発生し、幅150m×長さ500mほどの大崩落となった(ネットで調べると’23年7月と’24年7月の2回発生)。」 それでもキンバイソウの黄色い可憐な花を中心に何種類もの花々が楽しませてくれたが、「昔はこんなものではなかった」という言葉がズシリと胸に刺さった。

【エピローグ】
多県にまたがる近畿の百名山3座を、前泊も含めると5日間にわたるビッグ山行として実施した。「チョット無理があるのでは…」とのささやきが聞こえたりしたが、無事に終えることができてホッと胸をなでおろすとともに達成感、充足感を味わっている。とてもメモリアルな山行の1つとして深く心に刻まれる結果となった。日数が長く、多くの方が参加されたこともあって大変なところもありましたが、いろんな形でサポートしていただいたお陰で、ほぼ計画通りの内容で無事に回ってくることができました。ご協力に対して心より感謝申し上げます。

実施記録