奥蓼科横谷渓谷

10/19早朝、シニアメンバを中心とした13名のメンバが、マイクロバスに乗車して厚木市を出発。相模湖ICから中央高速諏訪南ICを経由し、広大な八ヶ岳山麓を北上して湯みち街道に入り、約4時間を要して、標高1530mの奥蓼科御射鹿池駐車場に午前10時前に到着した。

計画書

実施報告

紅葉に彩られた横谷峡を優雅に流れ落ちるおしどり隠しの滝

東山魁夷が描いた「緑響く」の絵画と吉永小百合の液晶テレビのTVコマ-シャルで、すっかり有名になった御射鹿池(みしゃかいけ)。近くに観光バス専用の駐車場や立派なトイレが整備され、4年前に比べ、すっかり観光地として整備されていた。御射鹿池の一番の売りは、背後の唐松の美林が水面に写る景色だが、あと2週間もすると、唐松林が黄金に染まって、見事な景観を作り出すはずだが、残念ながら、今日の唐松林は、少し黄色みを帯び始めたが、まだ緑色が幅を利かせていた。

東山魁夷の名画「緑響く」で有名な御射鹿池。あと少しすると背後の唐松林が黄金に輝く秋絶景に変わる。
標高1530mの奥蓼科のモミジ、カエデ、ナナカマドが真紅に色づき、紅葉の最盛期を迎えつつあった。
紅葉が始まってばかりのカラマツの樹林。葉が黄金色に染まるのは、11月初めごろか?
横谷峡を取り巻く山の斜面の紅葉は、まだ斑模様。全山が紅葉に染まるのは、あと1~2週間後か?

今回の横谷渓谷ハイキングは、上流のおしどり隠しの滝から、下流の乙女滝まで、紅葉に彩られた渓谷に沿って、累積標高差:登り約100m/下り約400m、歩行距離約5km辿る軽めの山行。

明治温泉旅館入口の標識に導かれて、紅葉に彩られた渓谷まで下ると、傾斜の緩い火山岩の上を思い思いに優雅に流れ落ちるおしどり滝に出会い、しばし見入った。赤や黄色に色づいている樹木は、モミジやカエデの他、ウルシやナナカマド、ドウダンツツジなどで、カラマツやブナ、ミズナラ等の葉は、黄色に色づき始めたばかりで、全山紅や黄色に染まる紅葉の最盛期までには、まだ1~2週間は要しそうだ。

右岸水際の鉄梯子状の桟道を登り、急峻な樹林帯を一登りして、渓谷右岸を高巻きすると、急峻な斜面をほぼ水平にトラバ-スする、幅50cmほどの狭い登山道に変わる。遥か下方から響く瀬音を聞き、木漏れ日が射し、あちこちに鮮やかに色づく紅葉樹を愛でながらの気持ちの良い樹林帯のハイキングが続く。

おしどり隠しの滝下に、全員集合!
おしどり隠しの滝を右岸に渡り、急峻な斜面に取り付いて、標高差約80mの急坂を登る。
右岸の高巻きルートは急峻で、かなりの悪路だった。
高巻きが終わると、王滝まで、木漏れ日が射す樹林帯の中に続くほぼ水平な登山道になる。

下り坂にかかると、ほどなく横谷渓谷最大の滝「王滝」を至近で見下ろせる王滝展望台に到着する。赤みを帯びた段差約40m溶岩の断崖を、2段になって、流れ落ちているが、全望できるのは、上段の滝みで、下段は、垂直な断崖と立木に阻まれ、全貌を望むことは難しい。

王滝展望台至近から望む、横谷渓谷を代表する王滝。40mを2段になって、赤茶色の溶岩壁を流れ落ちる。
一枚岩と名付けられた長さ数100m続く赤褐色の溶岩の一枚岩の上優雅に流れ下る滑滝。

足場の悪い鉄製の桟道を通過すると、ほどなくロマンチック街道の愛称で知られる国道299号から、車でアクセスできる横谷観音展望台から、渓谷に向かって15分ほど下ってきた登山道と、渓谷沿いの歩道が合流する。合流地点から下流の渓谷道は、道幅が急に広くなり、傾斜も緩やなになって、名実ともに歩きやすい横谷渓谷遊歩道となる。

秋晴れの好天であっても、最高気温は10℃以下。渓谷沿いの登山道の大半は、立木にさえぎられて、日陰の中。歩いていれば汗もかかず快適であるが、歩みを止めると、寒さが急に身に沁みる。日が射す広場を見つけて昼食をと、陽向の広場を探しながら、一枚岩、屏風岩、鷲岩、霧降滝と、渓谷の名所を見ながら辿っていくうちに、横谷温泉旅館に到着してしまった。

説明板に、滝近くのマイナスイオン濃度が2万個/cm3超と記載されていた霧降の滝。
心地よいカツラの香り漂う桂林の森林浴を楽しみながら、遊歩道を乙女滝に向かう。

旅館のトイレをお借りしてから、旅館駐車場広場端の日当たりの良い庭石に陣取って、紅葉の景色を愛でながら、ゆった~りとランチタイムを楽しんだ。

食後は、最後の名所「乙女滝」を訪ねるべく、渓谷沿いを下ってゆくと、特徴ある樹形に明るい黄色に色づいた丸い葉を付けた数本のカツラの大木に出会った。丸い黄色の落ち葉を敷き詰めた絨毯の上に立ち止まって、黄色に染まった丸い葉に鼻を近づけてみると、カツラ特有の心地よい香りがした。
乙女滝は、その名から連想される外観とは大きく異なり、オ-バ-ハング気味の高さ約15m岩壁から、一気に流れ落ちる豪壮な滝で、王滝と並んで、横谷渓谷を代表する名瀑とされ、サスペンスドラマの撮影場所として、これまでに度々TVに登場しており、皆さんもTVドラマ等で一度は目にしたことがある有名な滝である。
この滝は、横谷渓谷の渋川をまたぐように、江戸時代に人工的に作られた滝だという、天明の飢饉(1780年代)の時代に、蓼科山方面から流れ出た沢水を、南側の八ヶ岳山麓で、灌漑用水として利用するため、山腹を全長12.5kmにわたって開削して、人工的に作られた大河原堰の一部だという。乙女滝を含む大河原堰は、約240年前に造られた貴重な灌漑用水遺構として、世界灌漑施設遺産に登録されている貴重なものだという。

落差15mの乙女滝は、240年前の天明時代に灌漑用水として開削された大河原堰の一部をなす人工滝。
3時間強の紅葉ハイキングを終え、マイクロバスが待つ横谷渓谷入口駐車場に向かう。

3時間強の横谷渓谷ハイキングを無事終え、マイクロバスで帰路に就く前に、メンバが楽しみにしているもう一つのイベント「地元野菜&果物」直売所「たてしな自由農園茅野店」に立ち寄っての、お買い物を存分に楽しんだ。
広々とした直売所の店内には、出荷が始まったばかりの長野県開発のリンゴ「信濃三兄弟」の次兄「シナノスイ-ト」(母:フジ/父:ツガルの交配種)や長兄の秋映、長野県開発の皮ごと食べられる黒ブドウのニュ-フェイス「ナガノパ-プル」等が所狭しに並び、また、地元産の新鮮な高原野菜類や種々の農産物加工品を、用意してきたショッピングバック一杯になるまで、買い込むメンバが多かった。

帰路、バスの車窓から、晴れ渡った秋空の下に、午後の光に輝く蓼科山から北横岳、天狗岳、硫黄岳、横岳、赤岳、阿弥陀岳、権現岳、編笠山と、北から南に何10kmも連なる八ヶ岳連峰の大パノラマを存分に楽しみながら、満足のうちに帰路に就いた。

帰路、たてしな自由農園茅野店に立ち寄り、高原野菜や旬を迎えたシナノスイ-トりんごを買い求めた。
姿を現した南八ヶ岳連峰(左から硫黄岳、横岳、赤岳・阿弥陀岳)を車窓から眺めながら帰路につく。