霞丘陵
2022年度シニアメンバ向けゆった~り山行のオープニングは、東京都青梅市から埼玉県入間市に広がる霞丘陵の山裾に位置するツツジの名所塩船観音寺から、新緑の霞丘陵を岩蔵温泉まで、歩行距離:約8km、累積標高差:上り約100m/下り約200m、標準歩行タイム2時間余のなだらかな尾根道を辿る軽めのハイキング。
計画書
実施報告
10名のメンバが中型ワゴン車に乗りこみ、厚木市を7:00AMに出発。圏央厚木ICから圏央道を順調に北上し、青梅ICから青梅街道を西に進んで、塩船観音寺駐車場に9:00AMに到着。
塩船観音寺は、大化年間(645~650)に開山したとされる関東有数の真言宗醍醐派の古刹で、東国花の寺百ケ寺にも選ばれている。普段は静かな寺も、つつじ祭りが開催されるゴールデンウィ-クの時期になると、稚児行列、秘仏本尊ご開扉、大護摩火渡祭り等の行事が続き、この期間中だけで、約10万人の観光客が訪れ、大変賑わうという。ゴ-ルデンウィ-ク直前の平日のこの日も、駐車場や寺境内には、大勢の観光客や参拝客が訪れていた。
慶派の仏師によって作られたとされる左右2体の金剛力士像が守る茅葺屋根の仁王門を潜り、塩船観音寺や千手千眼観音菩薩の幟が立つ参道を進み、桃山時代の建築とされる茅葺屋根の阿弥陀堂と薬師堂にお参りし、さらに石段を登った先の茅葺屋根寄棟造の本堂(室町時代)前で、本尊十一面千手千眼観自在菩薩と、その左右に控える二十八部衆立像に参拝した。これらの仏像は、いずれも鎌倉時代作であるという。また、これら御堂と堂内に祀られている仏像の大半は、国指定重要文化財だという。
境内奥のつつじ園に進むと、U字型の尾根に囲まれた斜面全体に、咲き終わってしまったか、あるいは、まだつぼみが固いツツジ葉の緑玉に交じって、赤、白、ピンク、紫色と色とりどりの満開の花をつけた花玉が、ちりばめられた優雅で、ダイナミックな景観に感動の声が上がった。
もともとこの辺りには、多くのヤマツツジが自生していたことから、昭和40年につつじ園構想が生まれ、この寺の境内に、20種類以上のツツジが植栽・整備されて、昭和42年に、第一回つつじ祭りが開催されたという。その後もつつじ園の整備が地道に進められ、現在では、5000坪の敷地に、約2万株のツツジが植栽され、人工的に植栽されたつつじ園として、日本有数の規模を誇るつつじ庭園として、その名が知られ、人気の花見スポットになったという。
我々一行は、まずつつじ園中央の「弘誓閣護摩堂」に参拝し、つつじの花を愛でながら、鐘撞堂から尾根最上部に位置する平和観音立像展望台に上った。像高10mほどの巨大な青銅の平和観音像を背にして、つつじ園全景を見下ろし、色とりどりの見事なつつじ庭園のスケ-ルの大きさに改めて感激した。
平和観音立像を後にし、道標に従って、霞丘稜ハイキングコ-スに足を踏み入れると、赤松が混じる明るい新緑の雑木林の中に、アップダウンの少ない歩きやすい歩道が続く。あちこちに鮮やかな紅花を咲かせる自生のヤマツツジ、ヒメシャガの群落や日当たりの良い草原には、黄色の花咲くタンポポの絨毯。霞丘陵に自生するタンポポは、都市部で絶滅の危惧に瀕している在来種のニホンタンポポばかりだ。青梅市から埼玉県入間市に広がる加治丘陵と総称されるこの一帯は、自然環境が大事に保護されているようだ。
やがて、よく手入れされた茶畑が現れ、その先に広がる陽当たりの良い草原に腰を下ろして、ゆった~りとランチタイムを楽しんだ。時折出会うハイカ-の姿もまばらで、緑多い里山の大自然の中に浸っていると、コロナウイルスに感染しないよう、日々気遣いながら生活している日々の生活とは無縁の異次元の世界に迷い込んだ気分になった。 しばらく歩くと、舗装された幅広い遊歩道の両側に整然と桜の大樹が植樹された桜並木が現れ、桜花が散って、若葉に変わっていたが、緑が美しい桜並木に感動しながら、1kmほど続く桜並木の散策を楽しんだ。やがて、しっかり閉じられたゲ-トの先に、車が頻繁に行き交う岩蔵街道が交わる笹荷田峠に到着した。ゲート脇の「立正佼成会青梅錬成道場」の表札をみて、今まで歩いてきた自然豊かな丘陵の大半が、この宗教団体の管理敷地内であることを初めて認識した。
車道を横断し、道標に導かれて、岩蔵温泉方面に向かうハイキングコ-スに入ると、林相ががらりと変わり、鬱蒼とした檜の人工林になった。「ひむかの森」の石碑をみて、この辺りも、前記宗教団体の管理地であることが分かった。
やがて、七国広場の標識のあるT字路に出た。平坦な広場には、薄曇りの空から射しこむ日差しが心地よく、半切りにした丸太のベンチに並んで座って、一休みした。七国展望台は、ここから右折して飯能方面に少し進んだところにあるようだが、どう見ても大した展望が得られそうもないので、割愛して、T字路を左折して、岩蔵温泉方面に向かった。
ほどなく、本コ-スの最高地点となる標高233.4mの七国山山頂の標識があったが、山頂とは思えない樹林におおわれただけの高みで、少々がっかりしたが、その少し先に「冨士見ポイント」の案内板を見つけた。
この場所に立つと、展望を遮る西側の樹林が切り払われ、御岳山から大岳山に続く稜線の上に富士山が見えると、写真付きの解説があった。大岳山の姿ははっきり目視できたが、あいにくの薄曇りで、春霞の空に阻まれ、その左上に見えるはずの富士山の姿は、いくら目を凝らしてみても、確認することはできなかった。
その先は、急な下り坂となり、ほどなく下山口となる岩蔵温泉近くの日陰林道に降り立った。クールダウンのストレッチ体操をしている間に、呼び寄せたワゴン車が到着。そのまま岩蔵街道から、往路と同じル-トを走って、3:30PMごろ、めったにない太陽が高いうちに厚木市帰着となった。
本日の10名参加による70歳以上のシニアメンバ中心のゆった~り山行「塩船観音~霞丘陵~岩蔵温泉ハイキング」は、行動時間:約4時間30分、歩行数:約14,000歩の実績値をもって、無事終了した。