小山田緑地

4月25日(木) シニアメンバを中心とする12名が参加して、多摩丘陵の一角にある小山田緑地を訪ね、自然林の尾根や谷戸の湿地帯をゆった~り巡り、今では見ることが少なくなった、一面に群生するキンランをはじめ、ジュウニヒトエやフタリシズカ等の山野草を愛で、約3.5時間の里山ハイキングを楽しんだ。

計画書

実施報告

今回訪ねた町田市北西部に位置する都立小山田緑地は、多摩ニュ-タウンと隣接する町田市下小山田町地区の総面積146万平方メートルの広大な自然林の残る多摩丘陵内にあり、現在、そのうちの44万平方メートルが本園と3つの分園として整備され、都立公園として一般公開されている。なお、多くの丘陵が連なるこの緑地は鶴見川の源流地である。平安~鎌倉前期には、付近一帯は桓武平氏の流れを汲む小山田一族が支配する領地であり、西側の中山分園内の大泉寺付近に小山田氏の居城があったという(源頼朝死後、二俣川で北条に謀殺された畠山重忠に味方した小山田一族は離散・滅亡した)。

小田急線町田駅に集合し、駅前から多摩丘陵リハビリテ-ション病院行の路線バスに約30分乗車して、本園東口に近い扇橋バス停で下車した。小山田の谷(やと)の石碑から、深い森の中に入り、調整池が連なる谷筋の木道を歩いた。浅い池の水草の間にカルガモが泳ぎ、新緑が美しい桂の大樹と、やや盛りを過ぎたイチリンソウの群落を愛でながら、しばし森林浴を楽しんだ。

これから辿る丘陵の散策路は、谷(やと)から尾根、そして谷に下って標高100~120mの尾根に登り返す、標高差にして50m程度のアップダウンのある変化に富んだハイキングコースを進むことになる。最初の登りは、本園サービスセンタに続く石畳の道。途中の竹林には,大小様々なタケノコが競うように顔を出していた。

サ-ビスセンタ前から、キンランが群生するという梅木窪分園の尾根に登ると、眼下に深く刻まれたうさぎ谷に架かるつり橋が見下ろせた。急な木製階段を下り、長さ50mほどの立派な鉄製のつり橋の上から、展望を楽しんだ。この際、深い谷の斜面から立ち上がった高木樹「ホウの木」の枝先に咲く大輪の白花を真上の至近距離から観察するという貴重な体験に興奮した。

コナラ、クヌギ、シラカシ等の落葉樹の森の尾根道を辿ると、キンランの群生地に出会い、尾根を先に進めば進むほど、その密度を増した。メンバ全員がスマホを向けて、キンランの花を写真に収めるのに夢中だった。キンランと生息環境が似ているギンラン。通常キンランとギンランはセットのようにほぼ同じ場所に揃って咲くと言われているが、このキンラン大群生地には、ギンランの姿はなく、かなり離れた日当たりのよい草原でようやく数輪のギンランの花を発見した。なお、この尾根付近で、ジュウニヒトエやフタリシズカの花の他、まだ花は咲いていないものの、神奈川の県花「ヤマユリ」を沢山見かけた。キンランもヤマユリも、山林の開発と盗掘によって激減し、最近では丹沢や近隣の里山で自生している姿を見ることは、ほぼなくなってしまった。今回、神奈川県内ではないが、都立公園として、しっかり自然環境が守られているこの町田の山中で、これらの山野草がたくましく群生している様子を見て、大いに安堵した。 最後に本園に戻り、国土交通省が定めた「関東の富士見百景」に指定されている、標高120mの丘陵「みはらし広場」の大草原に立った。天気に恵まれれば、丹沢の山並みの上に、富士山の雄姿が望まれるはずであったが、雲に隠れてその姿を見ることは叶わなかった。

小山田緑地本園の小山田の谷の散策を終え、標高差50mほどの石畳の道を登る。
梅木窪分園のうさぎ谷に架かるつり橋上から、ホウノキの花を至近距離から観察できた。
関東の富士見百景指定標高120mのみはらし広場から大展望を楽しんだ。
みはらし広場で集合写真。
キンラン
ササバギンラン
ジュウニヒトエ
フタリシズカ
ホウノキ
オオカメノ木
ヤマツツジ
ヤマブキ