西湖根場・青木ヶ原樹海

4/15(月)シニアメンバを中心とする12名が参加して、終日快晴の空のもと、雪を戴いた富士山の眺望と桜咲く西湖いやしの里根場から野鳥の森公園を経て青木ヶ原樹海の原生林を西湖コウモリ穴まで、ハイキングを楽しんだ。

計画書

実施報告

河口湖北岸もみじ回廊下流両河畔に続く桜並木から望む富士山の絶景。

中央高速道路大月ジャンクションから河口湖ICに向かうと、早速真っ白な雪を戴いた富士山のお出迎えを受け、期待に胸を膨らませた。富士五湖付近のソメイヨシノは、例年4/15には散り収めの時季であるが、全国的に開花が大幅に遅れた今年、河口湖畔のソメイヨシノは、4/12に漸く七分咲きになったという情報を得ていた。今日の好天で、一気に満開になると確信し、当初の計画にはなかった河口湖北岸円形ホ-ル付近の桜の名所に立ち寄ることにした。湖畔のウォ-キングトレイル1kmに、約200本のソメイヨシノの並木があり、桜花咲く河口湖畔から湖水の上に雪を戴いた富士山の雄姿がコラボしたこの時季でしか味わえない絶景が楽しめるという。

河口湖大橋から北岸に渡り、目的地に9:30AM前に到着したが、すでに大勢の花見客で賑わっていた。早速川沿いの桜並木から湖畔に続く桜並木散歩道の約35分間の散策を楽しんだ。どのソメイヨシノの樹木も、つぼみが見当たらない、完全満開状態であるにもかかわらず、地面に散った花びら一枚も見かけなかった。河口湖の桜は、この暖かさで今まさに咲き揃い、最高に美しい状態を保っているようだ。富士山のダイナミックな景観と相まって、こんな見事な桜を目にした記憶がないとメンバ揃っての感激しきりだった。一つ残念だったのは、今冬の降雪と降雨量が極端に少なかったらしく、河口湖の湖水面が例年より2m近く下がって、岸辺の湖底がむき出しになって、景観が大きく損なわれていたことだ。

この後、湖北ビュ-ラインを西に向かって車を走らせ、西湖北西端のいやしの里根場に向かった。途中の河口湖と西湖畔には、ソメイヨシノやヤマザクラの他、白いコブシの花や紫のミツバツツジ、色とりどりの桃の花、アセビ、黄色のスイセンや芝桜の花が咲き誇っていた。

開花1週間遅れで、今見頃の情報を得て、河口湖北岸の桜の名所に急遽立ち寄った。
河口湖北岸のソメイヨシノは、蕾なし&散った花びらなしのまさに満開just in time。
川沿いと湖岸の遊歩道の桜並木の隙間から望む湖面の先に聳える富士山の雄姿。
地元の方一押しの河口湖の桜と富士山のコラボレ-ション景観をパチリ。

かつての根場地区には、茅葺民家が立ち並ぶ集落があったそうだが、昭和41年の台風による土石流被害によって、壊滅的被害を受けたという。その後、40数年の時を要し、かつての兜造の茅葺屋根の古民家を再建。一帯を地域の歴史・文化・富士山の景観をモチ-フにした「西湖いやしの里根場」として整備・蘇えらせたものだという。現在、本沢川を挟んだ南斜面一帯に、被害を免れた旧渡辺家住宅(国指定有形文化財)を含め22棟の兜造茅葺屋根の古民家が立ち並ぶ有料施設として一般公開されている。

種々の手造り民芸品や絵画・工芸品等の展示・販売や食事処となっている各古民家を気ままに訪ね歩き、園内に沢山植樹されている紅シダレサクラやフジザクラやコブシの花を愛で、園内の休憩舎で、北西方向からの山容が河口湖からのそれと大きく異なる富士山を眺めながら、ゆったりと昼食を摂った。

いつもの年であれば、園内に沢山植樹されている紅シダレサクラが見頃を迎えているはずであったが、朝10時過ぎに入園した際は、まだ開花前のつぼみが多かったが、退園する昼頃には、この暖かさで、五分咲きぐらいまで開花が進んだようだ。また、園内には、小ぶりの淡桃色の花を満開に咲かせたフジザクラも多く見られた。富士山周辺では、フジザクラと呼ばれているが、丹沢山塊では、マメザクラと呼ばれる桜と同種のようである。

かつての兜造茅葺屋根古民家22軒を再建して開園した西湖いやしの里根場内の古民家の展示場等を散策。
いやしの里から望む富士山。園内に咲く花は、右手前からコブシ、フジサクラ、咲き始めた紅シダレサクラ。
朝方は蕾が目立ったが、正午にはこんなに開花が進んだ園内の紅シダレサクラ。
富士山の名がついたフジザクラ。可憐な5弁の花を枝いっぱいに咲かせていた。

いやしの里根場を計画より50分早く出発し、青木ヶ原樹海ハイキングの出発点「西湖野鳥の森公園」に向かった。県道21号線を本栖湖方面に歩けば、目的地に最短で着けるが、車の多い幹線道路を歩くのを避け、国土地理院発行の1/25000地形図に記載のない、樹海原生林内の歩道を、道標を頼りに約40分歩いて無事たどり着くことができた。

広大な野鳥の森公園広場は人影まばらで、ソメイヨシノと紅シダレザクラが競い合って咲き誇っていた。広場の一角に建つ、立派なビジタ-センタ-の建物内に入り、あちこち声をかけたが応答なく、どなたも不在のようだった。やむなく、トイレをお借りし、展示物を見学し、椅子に座って一休みさせていただいた。

野鳥の森公園を出発し、青木ヶ原樹海の原生林中に付けられた歩道を北東方向に3kmほど歩いた先にある西湖ネイチャ-センタが今回のゴールである。

青木ヶ原樹海といえば、苔むした薄暗い原生林のイメ-ジが強いが、実際に歩いてみると、ツガやヒノキ、赤松等の針葉樹もあるが、ミズナラ、ブナ、フジザクラ、カエデ、シラカバ等の落葉樹も多く、春の樹海原生林は、薄日も射しこむ明るい森林であった。この樹海は、約1200年前の富士山山腹の大噴火で、西湖方面に流れ出た大量の溶岩流が固まってできた、凹凸の激しい苔むした他に類を見ない稀有な溶岩帯だという。しかし、この樹海内に設置されている歩道は、溶岩の凹凸を平になるように土木工事がなされており、道を外さない限り、平坦で歩きやすい原生林内の歩道であった。

途中10分間の休憩をはさみ、1時間ほどの森林浴を楽しみ、ゴールの西湖ネイチャ-センタに到着した。この樹海ハイキングで出会ったハイカ-は数えるほどで、そのほとんどは、外国人カップルか独り歩きを楽しむ外国人であった。日本にやってくる外国人旅行者が急激に増加しているそうだが、富士山麓を歩くハイカ-が、日本人より外国人の方が多いというのも、ご時世なのかもしれない。 

フィニッシュは西湖コウモリ穴探検。富士山山麓に現存する溶岩洞窟のうち、西湖コウモリ穴は、最大規模の洞窟で、昔はコウモリが棲んでいたことから、この名がついたという。全員ヘルメットを被って入洞したが、洞内は薄暗い上に、天井が低く、四つん這いになって歩いても、天井の岩盤に何度もヘルメットが当たって、その度にゴツンゴツンと衝撃が走る。約30分間の洞窟探検は、恐怖と苦痛に耐える苦行だった。 

そのあと、ネイチャ-センタの水槽内を泳ぐ、大小様々なクニマスを見た。かつて秋田県田沢湖のみに生息した日本固有種クニマスは、強酸性の川水流入によって、絶滅したとされていたが、近年西湖で生息していることがわかり、大騒ぎになった奇跡の魚だという。成魚は体長50cm以上の精悍な顔つきをした立派な魚だった。

帰りに道の駅なるさわに立ち寄り、お土産を買い込み、明るいうちに厚木市に帰着した。

野鳥の森公園に続く樹海の森に咲くミツバツツジ。アセビも多く見られた。
野鳥の森公園広場でもソメイヨシノと紅シダレサクラの競演が見られた。
落葉樹の多い明るい青木ヶ原樹海原生林内に続く遊歩道は平坦で歩きやすい。
ヘルメットを被ってコウモリ穴に入洞するTTCメンバ。天井が低くて難渋した洞窟探勝だった。